今回の授業は、ゲスト講師として長津結一郎先生をお招きした。
授業内容は、映画「記憶との対話~マイノリマジョリテ・トラベル、10年前の検証~」を鑑賞して、私達がこれから行う企画制作に向けて話し合いを行うというものであった。
〈授業の流れ〉
・ワークショップ
「背の順」など、いくつかのテーマについて一列に並ぶワーク。声を出さない、ジェスチャーをしないなど、徐々に制限が増えるなかで、制限の中で新しい表現が生まれることを学ぶ。
・長津先生の研究内容について
障害者であるからこそ持つ価値観について知る。
また、前回の授業で精読した「舞台の上の障害者」から、”健常者の消費対象として舞台に上げられる障害者”像について振り返る。
・映画鑑賞「記憶との対話~マイノリマジョリテ・トラベル、10年前の検証~」
誰しもがマイノリティ性とマジョリティ性を併せ持ち、自分の心地良いところで線引きをする。
そこで、"障害がある"という境界線はどこにあり、誰が引いているのだろうか?と考える。
障害者のことを分かったつもりになってはいけないし、何も分かろうとせずに線を引くのもよくない。
・映画鑑賞後の話し合い
議題1「生活していて『境界』を感じることはあるのかどうか?」
→環境の違いによって「境界」は生まれ、常に乗り越えるべき境界線は存在している。
議題2「私(たち)とは違うからこそ、対話するときに気を付けるべきポイントは?」
→そもそも”違う”のか?あくまでも、人と人との対話であることを意識する。自分の知らない世界を否定せずに楽しむ。
〈感想〉
長津先生の人柄もあり、終始あたたかくて柔らかい雰囲気のなかで授業が行われた。学生もリラックスしながら授業を受けることができた。
また、授業を受けて一つ感じたのは、「障害は”もつ”ものではなく、そこに”ある”ものだ」ということだ。
人と人との関係において、境界線は必要なものではあるが、その線の濃さを調整することはできる。障害のことを他人事だと考えて、境界線をきっぱりと引くのではなく、変幻自在な境界線をもって接することで、自身が持っている固定観念を問い直すことができるのではないかと感じた。
G/S